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イヌガラシについて
植物名 | イヌガラシ(犬芥子), 学名:Rorippa indica |
分類 | アブラナ科イヌガラシ属 |
分布・育成地 | 全国に広く分布 |
開花の時期 | 4月から9月 |
採取する時期 | 12月から4月 |
食用利用する部位 | 柔らかい若葉, 茎 |
イヌガラシ(犬芥子)はアブラナ科イヌガラシ属に属する多年草の植物で、原産地は日本、朝鮮半島、中国、東南アジアなどのアジア地域。
イヌガラシの渡来は、有史以前にイネが大陸から導入された際に随伴して日本に渡来してきたといわれています。
学名は「Rorippa indica」。「Rorippa」は、イヌガラシ属の植物に対するサクソン語の古名の「rorippen」が元になっており、「indica」は「インドの」を意味しています。
和名の別名には「アゼダイコン」や「ノガラシ」があります。
花名のイヌガラシの意味は、「芥子にもならない役に立たない植物」という意味なのだそうです。
全国に広く自生しており、水田の側など湿気のある場所を好む雑草で、刈り取りにも強く、刈り残った株からも再生するので根絶は困難とされています。
イヌガラシの花はアブラナ科によくある十字状の小さく黄色い花で、葉はギザギザのある鋸刃のような形状をしています。
花言葉は「平凡の非凡」です。
また、中国ではイヌガラシを薬草として風邪や関節炎などに用いているそうです。
イヌガラシとスカシタゴボウの違いは?
イヌガラシによく似た植物にスカシタゴボウがあります。
スカシタゴボウはイヌガラシの近縁種で雑草の一種ですが、イヌガラシと同様に食べることができます。
このスカシタゴボウとイヌガラシは近縁種ということもあって、見た目がとても似ているのですが、見分ける方法があります。
イヌガラシとスカシタゴボウは葉の形状に違いがあり、イヌガラシの葉はギザギザの部分が小さめの鋸刃状の形をしていますが、スカシタゴボウの葉は、イヌガラシの葉に比べるとギザギザの部分が大きめです。

画像左がスカシタゴボウ、右がイヌガラシ
また、果実の形状にも違いがあり、イヌガラシの果実は細長い形をしていますが、スカシタゴボウの果実はそれほど長くはなく、果実に膨らみがあるという違いがあります。

イヌガラシの果実

スカシタゴボウの果実
葉の形状の違いで見分けるのは慣れるまでは案外難しいので、実の形状の違いで見分ける方がいいかもしれません。
イヌガラシの効能について
前述のとおりイヌガラシは中国では薬草として利用されており、関節炎や風邪の症状に用いられているそうですが、実は日本でも薬草として利用されていたという話があります。
イヌガラシの茎や葉は心臓病に良いとされ、また、咳止めや利尿目的で種子を煎じて飲んだりしていたそうです。
民間療法では、イヌガラシの全草や花を風邪、熱のある咳、喉の痛み、関節痛、黄疸、閉経、ヘビの咬傷や漆かぶれに用いていたといわれています。
イヌガラシの採取時期と食べれる部位
イヌガラシで食べる部分は、柔らかい若葉や茎の部分です。
採集する時期は、開花前の冬から春にかけての時期で、きれいな葉や茎先の柔らかい葉を摘み取って食用に利用します。
また、全草に少し辛味があるので根本から丸ごと採集し、若葉や蕾を和え物や汁の実にして頂くこともできます。
イヌガラシの採取に関するポイント
- 採取する時期は12月から4月
- 全国に広く自生し、田んぼや畑、野原などのやや湿った場所で採取可能
- 採取する部位は柔らかい葉、茎
注意
市街地や都市部近郊に生えている野草は注意が必要です。
・農薬や除草剤が撒かれている場所は土壌汚染されています。採取は避けましょう。
・犬猫などのペットや動物が歩き回っている場所は、動物の糞尿で汚染されている危険性があるので採取は避けましょう。
・車などの交通量が多い場所は排気ガスによる汚染の可能性があるので、採取は避けましょう。
また、私有地となっている山地や各種公園指定を受けている山地では野草の採集が禁止されていますので、このような場所での野草の採取はやめましょう。
ポイント
各自治体が特別に注意事項を告知している場合があります。
地方に野草の採集に行かれる方は、その地方の自治体の告知を確認することをオススメします。
(栃木県の例)
野草類の放射性物質による汚染に関する注意喚起がなされています。
(新潟県の例)
山野草を採取する人向けに食中毒に関する注意喚起がなされています。
イヌガラシの下処理や食べ方について
イヌガラシは柔らかい若葉を主に食します。
きれいな葉を摘み取ってよく水洗いし、下茹でをします。
下茹では、塩ひとつまみを入れた熱湯で2~3分ほど茹でた後、冷水に5分間さらします。
下茹で後は、ごま和えや酢味噌和え物にしたり、炒めものの具材やサラダに。
また、手軽に食べたいのであれば、水洗いしてから油で揚げて天ぷらにして食べるのがお手軽です。
調理方法
- 茹でる
- 揚げる
- 炒める
下ごしらえに関する注意点
近年は野生動物が人里に降りてくるようになり、野生動物を介して野草に寄生虫の幼生や卵が付着するリスクが高まっています。
採取した野草を単体でしっかり水洗いし、熱湯で下茹ですることで寄生虫のリスクを避けることが出来ますので、必ず水洗いと下茹でを行いましょう。
炒め物や煮物で複数の具材を使用する場合、どうしても加熱にムラが出てしまうため、安全のため熱湯で下茹でした方が良いです。
注意ポイント
「毒性のある植物は加熱すれば大丈夫」と一般的に言われていますが、家庭での加熱では減毒するのは難しいのが現実です。(食中毒で入院した方も加熱処理していたのに入院する事態になっています)
毒性のある野草を食べるのは危険ですので止めましょう!