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ヒメジョオンについて
植物名 | ヒメジョオン(姫女苑) |
分類 | キク科ムカシヨモギ属, 学名:Erigeron annuus |
分布・育成地 | 全国に広く分布 |
開花の時期 | 6月から10月 |
採取する時期 | ほぼ通年 |
食用利用する部位 | 若芽、柔らかい葉、茎、蕾 |
ヒメジョオンは、北アメリカ原産のキク科ムカシヨモギ属に属する一年草(または越年草)の植物です。
同様に北アメリカから渡来したハルジオンと見た目が似ており、さらに繁殖力が強く現在は雑草化していること、ハルジオンと同じく要注意外来生物および日本の侵略的外来種ワースト100に選定されている所も共通しています。
英名は「annual fleabane」「Eastern daisy fleabane」の2つ。
和名は「ヒメジョオン(姫女苑)」以外に「柳葉姫菊(ヤナギバヒメギク)」「鉄道草(テツドウソウ)」などの呼び名があります。
国内に広く分布しており、道端や空き地、公園などどこにでも生えている雑草です。
ヒメジョオンの花言葉は「素朴で清楚」です。
※ ヒメジョオンの花言葉・豆知識については以下の記事を参考にしてください。
ヒメジョオンとハルジオンの違いについて
見た目が非常に似ているヒメジョオンとハルジオンですが、見分ける方法があります。
ヒメジョオンの開花時期はハルジオンと違い、少し時期がずれています。
ハルジオンの開花時期は4月から6月ですが、ヒメジョオンの開花時期は6月から10月。夏から秋にかけて花が咲いている方がヒメジョオンです。
そしてもう一つの違いは、茎の中の構造です。
ヒメジョオンの茎は中身が詰まっていて固い茎となっていますが、ハルジオンの茎は中が空洞になっています。
また、ハルジオンの花弁は糸状に細いのに対して、ヒメジョオンの花弁は太く、花弁の枚数が少なめになっているという違いがあります。

左:ハルジオン/右:ヒメジョオン
ヒメジョオンとハルジオンを見分けるポイント
- ハルジオンは春に開花するが、ヒメジョオンは夏から秋にかけて開花する
- ハルジオンの茎の構造は中空だが、ヒメジョオンの茎は中身が詰まっていて固い
- ヒメジョオンの花はハルジオンの花に比べて花弁が太く、枚数が少ない
ヒメジョオンの採取時期と食べれる部位
ヒメジョオンは越年草でほぼ年を通して採取可能ですが、理想的な採取時期は開花前の蕾が多くついている時期でしょう。
採取する部位は、若芽や柔らかい葉、蕾のついた花茎です。
ヒメジョオンは道端に生えているのでどこででも採取できますが、都市部近郊および車や人の出入りが多い場所での採取は止めましょう。
ペットの糞尿や除草剤、排気ガス等による汚染の危険があるためです。
ヒメジョオンの採取に関するポイント
- 採取する時期は開花する6月の少し前がベターだが、年を通して採集可能
- 全国に広く自生し、道端や畑、野原、空き地などで採取可能
- 採取する部位は若芽や柔らかい葉、蕾のついた花茎
注意
市街地や都市部近郊に生えている野草は注意が必要です。
・農薬や除草剤が撒かれている場所は土壌汚染されています。採取は避けましょう。
・犬猫などのペットや動物が歩き回っている場所は、動物の糞尿で汚染されている危険性があるので採取は避けましょう。
・車などの交通量が多い場所は排気ガスによる汚染の可能性があるので、採取は避けましょう。
また、私有地となっている山地や各種公園指定を受けている山地では野草の採集が禁止されていますので、このような場所での野草の採取はやめましょう。
ポイント
各自治体が特別に注意事項を告知している場合があります。
地方に野草の採集に行かれる方は、その地方の自治体の告知を確認することをオススメします。
(栃木県の例)
野草類の放射性物質による汚染に関する注意喚起がなされています。
(新潟県の例)
山野草を採取する人向けに食中毒に関する注意喚起がなされています。
ヒメジョオンの下処理や食べ方について
ヒメジョオンはハルジオンと同様に葉、茎、花、蕾などほぼ全草の部位が食用可能です。
風味は春菊に似た風味で癖のない香りですが、少し苦味があります。
どちらかというとハルジオンよりもヒメジョオンの方が苦味が強めで、茎の中身が詰まっているため歯ごたえも固めです。
柔らかめの葉は茹でてお浸しにしたり、炒めものに。蕾の付いた花茎は天ぷらやかき揚げに向いています。
調理方法
- 茹でる
- 揚げる
- 炒める
下ごしらえは
1.しっかり水洗いする
2.下茹でしてアク抜きをする(天ぷらやかき揚げの場合は不要)
手順としてはこの2つだけです。
柔らかい葉を下茹でしてマヨネーズで和える、または炒めものの具にしたり、天ぷらにすると良いでしょう。
蕾の付いた花茎は天ぷらやかき揚げ向きですが、他の具材と一緒に揚げる方が良いです。
風味や歯ごたえはハルジオンの方が良いという意見がありますが、ヒメジョオンも手軽に採集して食べることができる野草です。
ただし、ヒメジョオンはハルジオンと同じくキク科の植物なので、キク科花粉症の人はアレルギー反応が出てしまう危険があるので食べない方が良いと思われます。
下ごしらえに関する注意点
近年は野生動物が人里に降りてくるようになり、野生動物を介して野草に寄生虫の幼生や卵が付着するリスクが高まっています。
採取した野草を単体でしっかり水洗いし、熱湯で下茹ですることで寄生虫のリスクを避けることが出来ますので、必ず水洗いと下茹でを行いましょう。
炒め物や煮物で複数の具材を使用する場合、どうしても加熱にムラが出てしまうため、安全のため熱湯で下茹でした方が良いです。
※ アク抜きで茹でる場合は、下茹では省略しても構いません。
注意ポイント
「毒性のある植物は加熱すれば大丈夫」と一般的に言われていますが、家庭での加熱では減毒するのは難しいのが現実です。(食中毒で入院した方も加熱処理していたのに入院する事態になっています)
毒性のある野草を食べるのは危険ですので止めましょう!